『ストレス解消ハンドブック』(2001年、PHP研究所)のうち一部抜粋
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■ 経済環境の変化で「ファイナンシャル・ストレス」の問題が浮上
■ 「お金」も「心」も大切にすることが本当のメンタルヘルス
■ 「お金」も「心」も大切にすることが本当のメンタルヘルス
[用語解説] ファイナンシャル・ストレス
「ファイナンシャル・ストレス」とは、経済的要因によるストレスのことを言う。1998年に米国で「ファイナンシャル・ストレス」に関する本がよく売れたため、広く知られるようになった。
「ファイナンシャル・ストレス」とは、経済的要因によるストレスのことを言う。1998年に米国で「ファイナンシャル・ストレス」に関する本がよく売れたため、広く知られるようになった。
経済環境の変化で「ファイナンシャル・ストレス」の問題が浮上
ストレスというと、心の問題と思われがちですが、ストレスを作り出している要因としては、経済問題が非常に大きな要素となっています。
世界に目を向けますと、貧困で苦しんでいる人たちは非常に多く、経済的ストレス、つまり「ファイナンシャル・ストレス」で苦しんでいる人がきわめて多いとされています。
アメリカのような先進国でも、ストレス調査をすると、トップ3の中に、必ずファイナンシャル・ストレスが入ってくるようです。
もちろん、日本にもファイナンシャル・ストレスがないわけではありません。厚生労働省のストレス調査(平成12年保健福祉動向調査)によりますと、ストレス内容では、「仕事上のこと30.5%」「自分の健康・病気・介護26.7%」に続いて、「収入・家計23.6%」という項目が3位に入っています。さらに、これ以外に「借金7.6%」という項目もあります。
この「収入・家計ストレス」と「借金ストレス」というのは、まさにファイナンシャル・ストレスそのものです。数字から見ますと、日本でも2~3割の国民がファイナンシャル・ストレスを感じているということになります。
また、1998年に自殺者が前年から8千人以上増えて3万人を突破したとき、警察庁は、その増加者のかなりの人が、「負債」、「事業不振」などの「経済・生活要因」による自殺であると発表しています。つまり、ファイナンシャル・ストレスが自殺者を急増させたというわけです。
結局のところ、「心の問題」と「経済問題」は切っても切れない関係にあるのです。
「お金」も「心」も大切にすることが本当のメンタルヘルス
日本では「心」と「お金」は相対立する存在として考えられることが多いのですが、しかしながら、本当に「心」を大切にしようと思えば、「お金」も「経済」も大切にしなければなりません。
いまや、解雇、賃下げ、倒産、失業も、誰の身にも起こりうる時代になっています。老後の生活の不安も増しています。
右肩上がりの時代は終わり、経済環境は厳しくなっており、二極化や貧富の差の拡大も予想されています。ファイナンシャル・ストレスは高まる可能性があるということです。
経済的安定が保証されにくい時代に突入している以上、自分の「心」や「生活」を大切にするためにも、ファイナンシャルな問題をいかに解決していくかということが、再び問われ始めています。
(当記事の執筆は2001年です。当時の状況と違いが生じている可能性があることをご了承下さい)