<特集 170万人のチェックからわかったこと>
「株価」がなぜ「ストレス」に影響するのか?
当ページは、ダイジェスト版です。総合版は、
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<目次>
■ 「株価」がなぜ「ストレス」に影響するのか?
■ 1.経済環境が経営者・管理職のストレスに影響
■ 2.ストレスでマネジメントが変化する
■ マネジメントの変化が、職場にストレスを生む
「株価」がなぜストレスに影響するのか?
なぜ、株価がストレスに大きく影響するのでしょうか。
手がかりの一つは、リーマンショック後のアメリカの経済誌の報道に見ることができます。リーマンショック後に、アメリカの職場では「マイクロマネジメント(細かい管理)」や「コントロール・フリーク」が増えたとして、何度か取り上げられています。
業績が低下した企業では、マネージャーたちが部下への締め付けを強化し、微に入り細に入り、部下の仕事をチェックして、細かくコントロールしようとしました。部下たちはそのストレスに苦しめられたようです。
経済状態が悪くなると、マネジメントが大きく変わり、働く人のストレスに影響していることが推察されます。
ここでは、「経済環境の変化→経営者・管理職のストレス増加→マネジメントの変化(悪化)→部下のストレス増加」という仮説を立てて、検証をしてみます。
1.経済環境が経営者・管理職のストレスに影響
当ストレスチェックでは、職務上の地位のデータは取得しておりません。そこで、年代データによって代替します。多くの職場では、40代、50代は経営層、管理職層と考えられますので、この年代のストレスを中心に調べてみます。
年代別に、10年間の推移を確認してみると、リーマンショック後の2009年には、50代以上のストレスが高くなっていたことがわかりました。50代が突き上げるような形で、40代、30代、20代もストレスが高くなっていました。
株価(年初終値)を重ね合わせてみると、よりはっきりとします。(逆相関の関係ですから、株価は反転させています)
グラフを見ると、年代の高い人たちは、ストレスが、株価と連動した動きになっていることがわかります。
40代、50代は、「業績」に責任を負っている立場です。経済環境が悪化すると、業績悪化懸念が出てきて、ストレスが強まっている可能性があります。
また、2009年は、リストラの嵐が吹き荒れた年でもありました。リストラの対象となるのは、主に50代、40代です。この世代は、リストラが始まると非常に大きなリスクにさらされます。リストラの不安も加わって、なおさらストレスが高まっていたのではないかと考えられます。
2.ストレスでマネジメントが変化する
年代の高い層が、経済環境の変化で大きなストレスを受けることが確認できましたので、次に、ストレスによってマネジメントが変化するのかどうかを見てみます。
当サイトでは、「職場のストレス要因チェックテスト」を2008年より提供しています。「ストレス」と「職場マネジメント指標」の関係は、以下のようになっていました。
| 20代 ストレス | 30代 ストレス | 40代 ストレス | 50代以上 ストレス |
「上司による支援」との相関係数 | -0.29 | -0.65 | -0.66 | -0.74 * |
「仕事の裁量・自由度」との相関係数 | -0.40 | -0.70 | -0.65 | -0.73 * |
「上司による支援」と「仕事の裁量・自由度」が、一番相関していたのは、50代以上のストレスでした。
50代以上の人は、主として、部下に支援を与える立場であり、部下に裁量・自由度を与える立場です。
上記の相関係数からわかることは、
50代以上の人のストレスが高いときには、職場における部下支援が減っているということです。また、部下に対して裁量・自由度を付与することも減っています。つまり、ストレスが高いときには、部下に対する管理や締め付けを強化しているということです。
一般的に、ストレスを抱えているときには、自分のことで手一杯になり、余裕をなくします。他人のことを気にかけていられなくなります。その結果、他人に対する支援ができなくなっていたのではないかと考えられます。
ストレスの研究者ホブフォルのCOR理論に基づけば、リソース(資源)不足のときにストレスが生まれるとされています。
株価の下落は、経営者・管理職の余裕(余剰資源)を減らします。そのため、部下支援に手が回らなくなり、部下への締め付けも厳しくなり、部下のほうも資源不足に陥ってストレスが高くなっているのではないかと推測されます。
ストレスが上から下へとトリクルダウンする(したたり落ちる)ような形です。
マネジメントの変化が、職場にストレスを生む
まとめてみると、次のような構図と言えます。
株価の変化は、経営者・管理職にストレスを与えてマネジメントの変化を生む。それによって、職場全体がストレスフルな環境になっていく。
こうした理由によって、株価とストレスが強い連動を示しているのではないかと考えられます。