<特集 170万人のチェックからわかったこと>
「インフレ」より「デフレ」のほうがストレス!
当ページは、ダイジェスト版です。総合版は、
こちら。
<目次>
■ ストレスは「有効求人倍率」と関係ある?
■ ストレスは「景気指数」と関係ある?
■ 「デフレ」のほうがストレスになりやすい
■ アメリカの「金融ストレス指数」とは関係ある?
ストレスは「有効求人倍率」と関係ある?
10年間の「ストレス」と経済指標(株価、為替を除く)との関係は次のようになっていました。
以下は、主な指標との相関係数です。株価、為替との相関係数は、
こちら をご覧下さい。
| 月間平均 ストレス度 (一般版) | 月間平均 ストレス度 (学生版) |
失業率 | 0.59 ** | -0.04 |
有効求人倍率 | -0.71 ** | -0.12 |
**は、1%水準で有意(両側)
*は、5%水準で有意(両側)
色つき項目は、相関係数-0.7以下または0.7以上(以下同)
雇用面では、「失業率」よりも「有効求人倍率」のほうがストレスと高い相関を示していました。「有効求人倍率」の好転は「先行きの明るさ」を感じさせるものですから、ストレスに良い影響を与えていると推測できます。
ストレスは「景気指数」と関係ある?
景気ウォッチャー調査(内閣府)の「DI指標」とストレスの相関を取ってみると以下のようになっていました。
| 月間平均 ストレス度 (一般版) | 月間平均 ストレス度 (学生版) |
DI現状判断(合計) | -0.21 * | 0.21 * |
DI現状判断(家計) | -0.21 * | 0.20 * |
DI現状判断(企業) | -0.23 * | 0.23 * |
DI現状判断(雇用) | -0.19 * | 0.18 |
DI先行き判断(合計) | -0.27 ** | 0.18 * |
DI先行き判断(家計) | -0.27 ** | 0.16 |
DI先行き判断(企業) | -0.24 ** | 0.26 ** |
DI先行き判断(雇用) | -0.27 ** | 0.17 |
「DI指標」とストレスには、相関は見られませんでした。しかし、この指標からは有益な情報が読みとれます。
各指標(合計、家計、企業、雇用)ともに、「現状判断」よりも「先行き判断」のほうが、ストレスとの相関係数がやや高くなっています。
ストレスは、現在の状況よりも、「これからどうなるだろうか」「良くなるだろうか」「悪くなるだろうか」という先行きの予測のほうが影響が大きいことを示唆しています。
「現在の状況」を自分の力だけで変えることは困難なことですが、「これから先どうなるか」という予測は、自分の頭の中で変えることが可能です。ここに、ストレスを軽減させるためのヒントがありそうです。ポジティブな考え方を重視するポジティブ心理学などが有効に働く可能性を示しています。
「デフレ」のほうがストレスになりやすい
物価指数との関係は、以下のようになっていました。
| 月間平均 ストレス度 (一般版) | 月間平均 ストレス度 (学生版) |
物価指数 | -0.46 ** | 0.16 |
物価指数とストレスの相関は「-0.46」で、それほど高いものではありませんでした。ただ、相関係数の符号が、マイナスになっていることは注目すべき点です。「物価が上がるほど、ストレスは下がり、物価が下がるほど、ストレスが上がる」ことを意味します。
つまり、「
デフレのほうがストレスが大きくなる」ということです。
一方、学生の場合は、符号がプラスになっていますので「インフレのほうが、ストレスが大きくなる」ようです。
理由としては、社会人は、労働者(生産者)としてのウェイトが強く、学生は、消費者としてのウェイトが強いためと考えられます。
ストレス面から見ても、デフレ解消は非常に重要と言えそうです。
アメリカの「金融ストレス指数」とは関係ある?
上記のほか、いくつかの指標との関係を調べました。
・GDP(国内総生産)成長率とは、有意な相関は見られませんでした。
・NYダウとは、有意な相関が見られましたが、相関係数は「-0.39(**)」で、それほど高いものではありませんでした。
・同じ「ストレス」という言葉の付く、「金融ストレス指数」(米クリーブランド連邦準備銀行)との相関係数は、「0.23」で、相関は見られませんでした。