メンタルヘルスの日常業務への影響は?
近年、職場のメンタルヘルス対策がいっそう重視されるようになってきました。その背景として、「うつ病などメンタルヘルス疾患の増加」、「過労うつなどによる労災認定・訴訟の増加」がよく挙げられます。こうした医療的・法律的背景をよく理解しておくことはもちろん重要です。
しかし、管理職の方の中には、「日常業務だけで手一杯で、起こるかどうかわからない病気や訴訟のことにまで、気を配っている余裕がない」という方もいます。
そこで、今回は、管理職の方にとって身近な「日常業務」への影響に焦点を当てて考えてみたいと思います。
<生産・製造部門>……品質・遅延・事故
製造業の中には、何十年も前から、メンタルヘルス対策、ストレス対策に取り組んでいる企業があります。それは、メンタルヘルス不調が、作業ミスや事故を引き起こす可能性があるためです。
メンタルヘルス不調の代表的なものにうつ状態がありますが、うつ状態になると、集中力や注意力が低下しがちで、ミスや事故が発生しやすくなります。また、不眠を伴う不調も多く、眠い状態での作業もミスや事故につながることがあります。
メンタルヘルス不調を放置しておくと、ミスの発生によって品質低下や生産の遅れを引き起こしたり、事故やケガを生んだりして、生産・製造部門の業績に影響する可能性があります。
<研究・開発部門>……知的生産性
このところ、メンタルヘルス対策が重視されている部門は、研究開発などの知的生産部門です。
うつ状態になると、思考力が低下してしまうことがあり、新しいアイデアが浮かびにくくなります。設計やプログラミングのミスが生じる可能性もあります。不眠による眠気も、思考力や集中力を低下させます。
製造業においても、他の業種においても、知的作業のウェイトは高まっています。また、ホワイトカラーの多くの人も、頭を使った仕事をしています。
研究開発部門やホワイトカラーの知的生産性を高めるためにも、メンタルヘルス対策の重要性がいっそう高まってきています。
<営業・販売部門>……顧客サービス
欧米の金融・サービス業は、顧客サービスの観点からメンタルヘルス対策を取り入れています。
営業担当者や、窓口・コールセンターの担当者が、ストレスを抱えてイライラしていたり、ボーッとしていたりすれば、顧客対応に影響が出る可能性があります。
顧客に重要情報を説明し忘れたり、感情をコントロールできず顧客とトラブルを引き起こしたりする可能性もあります。
アルコール依存もメンタルヘルス不調の一つですが、お酒の抜けない状態で顧客対応をするケースもあるかもしれません。いずれも、顧客のからの信用を失う行為です。
また、不調を抱えた人は、急に会社を休むことがありますが、顧客との打ち合わせの日に突然休めば、顧客に大きな迷惑をかけてしまいます。
反対に、心身の調子の良い社員が顧客対応をすれば、顧客満足度が高まる可能性もあります。
欧米では、顧客満足度を高める手法の一つとして、社員のストレス面やメンタルヘルス面への配慮が行われるようになってきています。
<情報管理部門>……秘密保持
情報管理面においても、メンタルヘルス状態は大きな影響を及ぼします。
集中力を欠いた人が不注意によって情報を流出させてしまう危険性もありますし、過大なストレスや不満を抱えた人が、意図的に情報を漏洩するケースも考えられます。
インターネットの発展によって、誰もが世界中に簡単に情報を発信できるようになっているため、情報管理の重要性はますます高まっています。
情報管理面でメンタルヘルスの重要性を強く認識しているのが米国防総省です。米国では、国家の重要機密へのアクセス権を得るためには事前の人物審査があり、職歴や経済状態のほか、アルコール・ドラッグ使用歴やメンタルヘルス状態も審査されます(セキュリティ・クリアランス)。
メンタルヘルス面の不調は、判断力や情報管理能力の低下をもたらし、忠誠心にも影響を及ぼすリスク要因の一つと考えられています。ただし、差別的な扱いにつながらないように慎重な取り扱いがされています。
軍事情報などの国家機密の漏洩は、国家や国民の安全を脅かす危険性があります。情報漏洩を起こりにくくするために、職員のメンタルヘルス状態を良好に保つ対策が求められているのです。
企業においても、企業秘密や顧客情報の流出は、死活問題となりかねません。この点でも、社員のメンタルヘルス対策は重要と考えられます。
以上の点を踏まえた確認項目を挙げておきましょう。職場で次の状況は起こっていませんか?
◆品質の低下が見られる
◆業務の遅れが見られる
◆事故やケガが発生している
◆知的生産性がなかなか高まらない
◆顧客サービスの低下が見られる
◆情報の流出が発生している
これらの背景には、「ストレス」や「メンタルヘルス」の問題が隠れていることがあります。そこに手を打つことも改善策の一つです。
しかし、管理職の方の中には、「日常業務だけで手一杯で、起こるかどうかわからない病気や訴訟のことにまで、気を配っている余裕がない」という方もいます。
そこで、今回は、管理職の方にとって身近な「日常業務」への影響に焦点を当てて考えてみたいと思います。
<生産・製造部門>……品質・遅延・事故
製造業の中には、何十年も前から、メンタルヘルス対策、ストレス対策に取り組んでいる企業があります。それは、メンタルヘルス不調が、作業ミスや事故を引き起こす可能性があるためです。
メンタルヘルス不調の代表的なものにうつ状態がありますが、うつ状態になると、集中力や注意力が低下しがちで、ミスや事故が発生しやすくなります。また、不眠を伴う不調も多く、眠い状態での作業もミスや事故につながることがあります。
メンタルヘルス不調を放置しておくと、ミスの発生によって品質低下や生産の遅れを引き起こしたり、事故やケガを生んだりして、生産・製造部門の業績に影響する可能性があります。
<研究・開発部門>……知的生産性
このところ、メンタルヘルス対策が重視されている部門は、研究開発などの知的生産部門です。
うつ状態になると、思考力が低下してしまうことがあり、新しいアイデアが浮かびにくくなります。設計やプログラミングのミスが生じる可能性もあります。不眠による眠気も、思考力や集中力を低下させます。
製造業においても、他の業種においても、知的作業のウェイトは高まっています。また、ホワイトカラーの多くの人も、頭を使った仕事をしています。
研究開発部門やホワイトカラーの知的生産性を高めるためにも、メンタルヘルス対策の重要性がいっそう高まってきています。
<営業・販売部門>……顧客サービス
欧米の金融・サービス業は、顧客サービスの観点からメンタルヘルス対策を取り入れています。
営業担当者や、窓口・コールセンターの担当者が、ストレスを抱えてイライラしていたり、ボーッとしていたりすれば、顧客対応に影響が出る可能性があります。
顧客に重要情報を説明し忘れたり、感情をコントロールできず顧客とトラブルを引き起こしたりする可能性もあります。
アルコール依存もメンタルヘルス不調の一つですが、お酒の抜けない状態で顧客対応をするケースもあるかもしれません。いずれも、顧客のからの信用を失う行為です。
また、不調を抱えた人は、急に会社を休むことがありますが、顧客との打ち合わせの日に突然休めば、顧客に大きな迷惑をかけてしまいます。
反対に、心身の調子の良い社員が顧客対応をすれば、顧客満足度が高まる可能性もあります。
欧米では、顧客満足度を高める手法の一つとして、社員のストレス面やメンタルヘルス面への配慮が行われるようになってきています。
<情報管理部門>……秘密保持
情報管理面においても、メンタルヘルス状態は大きな影響を及ぼします。
集中力を欠いた人が不注意によって情報を流出させてしまう危険性もありますし、過大なストレスや不満を抱えた人が、意図的に情報を漏洩するケースも考えられます。
インターネットの発展によって、誰もが世界中に簡単に情報を発信できるようになっているため、情報管理の重要性はますます高まっています。
情報管理面でメンタルヘルスの重要性を強く認識しているのが米国防総省です。米国では、国家の重要機密へのアクセス権を得るためには事前の人物審査があり、職歴や経済状態のほか、アルコール・ドラッグ使用歴やメンタルヘルス状態も審査されます(セキュリティ・クリアランス)。
メンタルヘルス面の不調は、判断力や情報管理能力の低下をもたらし、忠誠心にも影響を及ぼすリスク要因の一つと考えられています。ただし、差別的な扱いにつながらないように慎重な取り扱いがされています。
軍事情報などの国家機密の漏洩は、国家や国民の安全を脅かす危険性があります。情報漏洩を起こりにくくするために、職員のメンタルヘルス状態を良好に保つ対策が求められているのです。
企業においても、企業秘密や顧客情報の流出は、死活問題となりかねません。この点でも、社員のメンタルヘルス対策は重要と考えられます。
以上の点を踏まえた確認項目を挙げておきましょう。職場で次の状況は起こっていませんか?
◆品質の低下が見られる
◆業務の遅れが見られる
◆事故やケガが発生している
◆知的生産性がなかなか高まらない
◆顧客サービスの低下が見られる
◆情報の流出が発生している
これらの背景には、「ストレス」や「メンタルヘルス」の問題が隠れていることがあります。そこに手を打つことも改善策の一つです。