「ディマンド」と「コントロール」の差がストレスを生み出す
前回ご紹介した、ストレスを予防する「マネジメント・スタンダード」の6つのポイントのうち、今回は「ディマンド」と「コントロール」の2つについて見ていきます。
「ディマンド」というのは、仕事の要求水準や仕事の負荷のことです。部下に対して、多くの仕事を課したり、困難な仕事を担当させたりした場合には、「ディマンド」のレベルが高いことになります。
また、「コントロール」とは、部下が自分で仕事をコントロールできる範囲や能力、つまり、仕事の裁量権や、仕事のスキルなどを含めた「対応能力」のことを指します。
「ディマンド」と「コントロール」は、ストレス状態やメンタルヘルス状態と密接に関連しています。
下の図を見てください。
例えば、部下に対して80のレベルの「ディマンド(要求)」を課したとしましょう。
図の左側のように、「コントロール能力(対応能力)」が50程度しかない部下の場合は、自分の対応能力を大きく超えた要求を課されているわけですから、強いストレスを感じやすくなります。
それに対して、図の右側のように、75のレベルのコントロール能力を持っている部下の場合は、「このくらいの仕事なら、あと少し努力すれば、何とかなりそうだ」という感覚を持てますから、ストレスを感じにくくなります。
つまり、メカニズムとしては、「ディマンド」のレベルと「コントロール」のレベルに大きな差があるときに、強いストレスを感じやすくなるということです。
「ディマンド」というのは、仕事の要求水準や仕事の負荷のことです。部下に対して、多くの仕事を課したり、困難な仕事を担当させたりした場合には、「ディマンド」のレベルが高いことになります。
また、「コントロール」とは、部下が自分で仕事をコントロールできる範囲や能力、つまり、仕事の裁量権や、仕事のスキルなどを含めた「対応能力」のことを指します。
「ディマンド」と「コントロール」は、ストレス状態やメンタルヘルス状態と密接に関連しています。
下の図を見てください。
例えば、部下に対して80のレベルの「ディマンド(要求)」を課したとしましょう。
図の左側のように、「コントロール能力(対応能力)」が50程度しかない部下の場合は、自分の対応能力を大きく超えた要求を課されているわけですから、強いストレスを感じやすくなります。
それに対して、図の右側のように、75のレベルのコントロール能力を持っている部下の場合は、「このくらいの仕事なら、あと少し努力すれば、何とかなりそうだ」という感覚を持てますから、ストレスを感じにくくなります。
つまり、メカニズムとしては、「ディマンド」のレベルと「コントロール」のレベルに大きな差があるときに、強いストレスを感じやすくなるということです。
部下の「コントロール」レベルを高める
メンタルヘルス不調を予防するために、まず、部下に課す「ディマンド」を適正な水準にすることを考えてみましょう。
厚生労働省のメンタルヘルス指針においても、管理監督者は、部下の仕事の負荷に配慮するよう求められています。過重労働や長時間労働によって健康障害が生じた場合、法的な責任を負う可能性もありますので、注意が必要です。
「ディマンド」を適正な水準に保つために、次の各項目をチェックしてみて下さい。
■ 昼食時間中も仕事をしている部下がいる
■ 月間残業時間が80時間を超える部下がいる
■ 特定の部下に仕事が集中している
■ ノルマをまったく達成できない部下がいる
■ 予想以上に遅れの出ている仕事がある
該当する項目があれば、部下の仕事の負荷が高まり過ぎていないかどうか確認してみましょう。
部下のコントロール能力を超えるディマンドを課してはいけない、というわけではありません。能力の範囲内の仕事しか与えなければ、部下は、自分の能力を今以上に高めることができなくなってしまいます。
新しい仕事にチャレンジさせるなど、少し高めのディマンドを課すことは、潜在能力を引き出し、達成感を感じてもらうことにもつながります。
ただし、部下の心身の状態を適宜確認し、調子が悪そうなら、ディマンドの量を調整して下さい。
厚生労働省のメンタルヘルス指針においても、管理監督者は、部下の仕事の負荷に配慮するよう求められています。過重労働や長時間労働によって健康障害が生じた場合、法的な責任を負う可能性もありますので、注意が必要です。
「ディマンド」を適正な水準に保つために、次の各項目をチェックしてみて下さい。
■ 昼食時間中も仕事をしている部下がいる
■ 月間残業時間が80時間を超える部下がいる
■ 特定の部下に仕事が集中している
■ ノルマをまったく達成できない部下がいる
■ 予想以上に遅れの出ている仕事がある
該当する項目があれば、部下の仕事の負荷が高まり過ぎていないかどうか確認してみましょう。
部下のコントロール能力を超えるディマンドを課してはいけない、というわけではありません。能力の範囲内の仕事しか与えなければ、部下は、自分の能力を今以上に高めることができなくなってしまいます。
新しい仕事にチャレンジさせるなど、少し高めのディマンドを課すことは、潜在能力を引き出し、達成感を感じてもらうことにもつながります。
ただし、部下の心身の状態を適宜確認し、調子が悪そうなら、ディマンドの量を調整して下さい。
部下の「コントロール」レベルを高める
メンタルヘルス不調を減らすもう一つの方法は、部下の「コントロール」のレベルを高めることです。具体的には、次のような方法があります。
■ 自分で仕事のやり方を決める余地を与える
■ ある程度自由に時間を使わせる
■ 権限委譲をして、より多くの裁量権を与える
■ 研修の機会を提供し、スキルを高めてもらう
■ 部下の意見をよく聞いて意思決定する
最後の項目「部下の意見をよく聞く」という手法は、部下の裁量権や自由度を直接的に高めるわけではありませんが、仕事への参加意識をはぐくみ、「コントロール感」を高めます。
なお、「コントロール」のレベルを高めることは、健康面で良い効果をもたらすだけではなく、部下のパフォーマンスを高め、欠勤を減らす効果もあることが、研究によって明らかにされています。
「マネジメント・スタンダード」の6つの項目のうち、「コントロール」は、ビジネス上のメリットが最も大きいとされる要素です。
競争が激化し、顧客や取引先からの要求も厳しくなる中で、部下に対する「ディマンド」を減らすことは容易なことではないかもしれません。どうしても「ディマンド」を減らすことができない場合には、「コントロール」を高めるマネジメントを取り入れてみると、部下の不調を減らし、仕事の成果を高めることにつながります。
<追記 2015年> リーダー層に人気のCOR理論とは?
ちなみに、「ディマンド」と「コントロール」の関係をさらにシンプル化して、「資源(リソース)」という1つの要素に絞り込んだ「COR理論」というものがあります。ビジネスパーソンの方には、こちらのほうがシンプルでわかりやすいかもしれません。
「ディマンド」に対して「コントロール」が不足しているのは、「資源が不足している」とみなす考え方です。
COR理論では、「ディマンド」と「コントロール」の、2つの要素を意識する必要はなくなります。「資源」というものにフォーカスして、「資源を増やすこと」だけを考えていれば、ストレスが減少し、パフォーマンスが向上するという、シンプルな考え方です。
「COR理論」は、1989年に発表されたもので、必ずしも新しい理論ではないのですが、リーダーシップとの親和性が高く、軍隊などで使われてきました。
このCOR理論が、2014年ごろからの最新のリーダーシップ研究の中で再び注目を集めています。
おそらく、リーダーにとっては一番使いやすい、実践的な考え方だからだと思います。
■ 自分で仕事のやり方を決める余地を与える
■ ある程度自由に時間を使わせる
■ 権限委譲をして、より多くの裁量権を与える
■ 研修の機会を提供し、スキルを高めてもらう
■ 部下の意見をよく聞いて意思決定する
最後の項目「部下の意見をよく聞く」という手法は、部下の裁量権や自由度を直接的に高めるわけではありませんが、仕事への参加意識をはぐくみ、「コントロール感」を高めます。
なお、「コントロール」のレベルを高めることは、健康面で良い効果をもたらすだけではなく、部下のパフォーマンスを高め、欠勤を減らす効果もあることが、研究によって明らかにされています。
「マネジメント・スタンダード」の6つの項目のうち、「コントロール」は、ビジネス上のメリットが最も大きいとされる要素です。
競争が激化し、顧客や取引先からの要求も厳しくなる中で、部下に対する「ディマンド」を減らすことは容易なことではないかもしれません。どうしても「ディマンド」を減らすことができない場合には、「コントロール」を高めるマネジメントを取り入れてみると、部下の不調を減らし、仕事の成果を高めることにつながります。
<追記 2015年> リーダー層に人気のCOR理論とは?
ちなみに、「ディマンド」と「コントロール」の関係をさらにシンプル化して、「資源(リソース)」という1つの要素に絞り込んだ「COR理論」というものがあります。ビジネスパーソンの方には、こちらのほうがシンプルでわかりやすいかもしれません。
「ディマンド」に対して「コントロール」が不足しているのは、「資源が不足している」とみなす考え方です。
COR理論では、「ディマンド」と「コントロール」の、2つの要素を意識する必要はなくなります。「資源」というものにフォーカスして、「資源を増やすこと」だけを考えていれば、ストレスが減少し、パフォーマンスが向上するという、シンプルな考え方です。
「COR理論」は、1989年に発表されたもので、必ずしも新しい理論ではないのですが、リーダーシップとの親和性が高く、軍隊などで使われてきました。
このCOR理論が、2014年ごろからの最新のリーダーシップ研究の中で再び注目を集めています。
おそらく、リーダーにとっては一番使いやすい、実践的な考え方だからだと思います。