ストレスケア・コム トップへ
★パワハラ関連ご依頼は→
ストレス・コメントストレス・お悩み相談&応援ストレスチェックエゴグラム性格チェックワーク・ライフ・バランス・チェック心の多様性チェックストレスとは何か。


 
ストレス・マネジメント
著:


ストレスで成長する「PTG(ポスト・トラウマティック・グロース)」とは?


PTG(心的外傷後成長)とは?

 PTG(心的外傷後成長)とは、ポスト・トラウマティック・グロースの略で、トラウマとなるような経験(TE、トラウマティック・イベント)の後に、人間として成長を遂げるというものです。

 トラウマとなるような経験をすると、誰もが大きなストレス(PTS、ポスト・トラウマティック・ストレス)を感じます。

 PTSを経験すると、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になる人と、PTG(心的外傷後成長)になる人がいます。


困難や苦しみを乗り越えると、人間的成長がある

 「PTG」という言葉は、新しい言葉ですが、実際には昔からよく知られいる現象です。

 「艱難汝を玉にす」という言葉があるように、困難や苦しい状況を乗り越えることで人間的成長を遂げた人は、昔からたくさんいます。

 特に、社会のリーダークラスの人には、逆境を乗り越えて、人間的に成長した人が多いと言われています。

「捕虜」の経験を乗り越えたチャーチル

 イギリスのチャーチルは、若い頃、南アフリカのボーア戦争で捕虜となりました。
 あらゆるストレスの中でも、「捕虜」というのは、究極のトラウマ的出来事と考えられています。すべての自由を奪われるからです。

 チャーチルは、死を覚悟して収容所を脱走し、イギリス本国に戻るという強烈な経験をしています。

 その後のチャーチルはイギリス国民の尊敬を集める人物となりました。ちなみに、チャーチルはずっとうつ病を患っていたことでも知られています。うつを抱え、ときに苦しみながらも、国家に対して大きな貢献をしました。


イラクで捕虜になった女性軍医に学ぶ

 PTG(外傷後成長)について語るときに、欠かすことができないのは、ロンダ・コーナムさんの話です。

 1991年の湾岸戦争でイラク軍の捕虜となった女性です。当時の階級は陸軍少佐で、軍医でもありました。

 彼女は、イラク軍に撃墜された戦闘機のパイロットを救出するために、ヘリコプターに乗り込み、イラクに向かいました。


 ところがイラク側に砲弾を撃ち込まれ、ヘリは墜落。乗員8人中5人が死亡。コーナムさんも、地面に叩きつけられ、重傷を負いました。その後イラク兵に捉えられ、捕虜となったのです。

 捕虜は、言葉では表せないほどの過酷な状況に置かれます。彼女は、骨が砕ける重傷を負っていて激痛が続く状況の中で、イラク兵から性的いたずらをされました。性的いたずらは拷問の一種と考えられています。

 撃墜され、目の前で仲間が戦死。自身は重傷を追い、さらに捕虜にされ、性的いたずらをされる。これらのうち1つだけでも、強烈な「トラウマ」となりうるものです。次々と強烈な「トラウマ」的出来事が襲ってきたにもかかわらず、コーナムさんは、PTSDになることはなく、苦しみを乗り越えて、人間として、リーダーとして成長を遂げました

 つまり、PTGの状態となったのです。

 その最大の要因は、「感謝の気持ち」でした。

「耐えられないほどの苦しい経験をしたけれども、それでもまだ命がある、神様、生かしてくれてありがとう」という感謝の気持ち

「この経験で、夫や娘との絆がさらに強まった」という家族への感謝の気持ち

「この苦しい経験からも学べることがあった、それはありがたいことだ」という感謝の気持ち

 こういった気持ちが、苦しみを乗り越えさせ、成長へとつながったようです。

「感謝の気持ち」がPTGにつながる

 ロンダ・コーナムさんが特別な珍しい人かというとそういうわけではなく、多くの人が、「感謝の念」を持つことで、何らかの成長・発展を遂げることがわかっています。

 東日本大震災の後には、テレビのインタビューなどで、被災者の方たちが、感謝の念を表しているのを何度も見かけました。
 とても苦しい思いをしているにもかかわらず、生きていられることへの感謝、家族への感謝、支えてくれる方たちへの感謝を表していました。

 こうした気持ちは、多くの人に生じます。
 PTGは、特別なことではなく、誰もがその可能性を持っているものです。

 実は、トラウマ経験後にPTSDになる人よりも、PTGになる人のほうが多いことがわかっています。

 戦争、災害、事故、病気など、死を覚悟しなければいけないような経験をした後に、「生きていられるだけで、とてもありがたい。命を大事にしようと思った」とか「まわりの人に助けてもらい、人の温かみがわかった。苦しかったけど、大切な経験だったのかもしれない」などと気づいて、その後の生活や態度を大きく変えた人は少なくありません。

20年後のコーナムさんは、「レジリエンス」の責任者に

 コーナムさんは、1991年にイラクで捕虜となって以降、その経験を生かしてリーダーとしてさらに成長を遂げ、将軍(准将)にまで昇進し、また家庭人として、充実した生活を送ってきました。

 彼女は、2009年から、アメリカ陸軍が組織を挙げて導入した、CSF(コンプリヘンシブ・ソルジャー・フィットネス)というプログラムの総責任者となっています。

 CSFは、「レジリエンス(逆境から立ち直る力)」をトレーニングするプログラムです。逆境から立ち直ったコーナムさんの経験が生かされることとなりました。

「病理モデル」と「成長モデル」のバランスをとる

 米陸軍では、従来は「トラウマからPTSDになる」という病理面ばかりが教育されており、逆境から立ち直った人の話や、「トラウマを生かして成長につながることがある」という成長面を教えていなかったようです。


PTGは、リーダー候補にも知られていなかった

 米陸軍士官学校で、ある講師が士官候補生に聞いたところ、PTSDについては8割の人がよく知っていたのに対して、PTGを熟知していたのはわずか2%で、78%の人は、PTGという言葉すら聞いたことがなかったそうです。

 「今までは、陸軍では病理というネガティブな面を中心に教えており、著しくバランスを欠いていた。人間はもっと多様な面を持った包括的な存在であることをきちんと教えなければいけない」(陸軍)という反省から、PTGを含めたレジリエンス教育を行うことに変更しています。(参考:ジョージ・ケーシー陸軍参謀総長論文

 陸軍では「疾病モデル」に偏りすぎていたストレス対策をやめ、「成長モデル」とのバランスを考えたストレス対策へと変わりました。

 なお、コーナムさんが、PTGと自分の経験を語っているビデオがあります。

 在日米陸軍がユーチューブに公開していて、日本語字幕も付いていますので、関心のある方はご覧下さい。

 コーナムさんが語っている「学びの機会(ラーニング・オポチュニティーズ)」という言葉も、キーワードです。
 うつ病などから回復した人たちの中には、「苦しかったけど、勉強になった」「いろいろ学べた」という感想を述べる人がけっこういます。「学びの機会」になったと実感できたときに、トラウマ的な出来事の苦しみも、少し緩和された状態となります。



2分04秒くらいから、「PTSDとPTGについて」解説
2分50秒くらいから、ご自分の経験談(湾岸戦争)

 コーナムさんは、自身がPTGの経験者であり、医者であり、陸軍のレジリエンスの責任者ですから、PTGの第一人者。ポジティブ心理学の祖であるマーティン・セリグマン博士の本にも、PTGの例として、コーナムさんの話は何度も出てきます。本記事は、下記のコーナムさんの手記を参考にさせていただきました。


イラク軍に囚われて―米陸軍少佐ロンダ・コーナム物語










 



 【中高生版】 悩んでいるとき… 

嫌なことを思い出さないようにすることはできる? 中高生版ストレス講座(1)
世界の多くの中高生が「死にたい」という思いに苦しんでいます。
親や先生に口で言えないときは、手紙を書いてみましょう。
世界で数百万回見られている動画。中高生時代のいじめ、自殺未遂が語られています。
自傷行為で悩んでいる人のための情報です。置き換え法も考えてみて。
小中高生のための24時間 電話相談先です。相談の仕方についの情報も。

 <コメント投稿コーナー>


ストレス関連テーマへのコメント・コーナーです。
PICKUP
みんなのストレス解消法

(約700件)


日本や世界の地図を見ると、世界は、広くて自分の考えてることの小ささ …
40代 女性

  <最近のコメント・テーマ>



 <8つのチェックテスト>


ストレスがたまっていないかチェックしてみましょう。

ストレスチェック学生版です。

ストレスが「頭の働き」に影響していないかチェックしてみましょう。

自分の状態について知ることは、ストレスケアの第一歩です。


 <ストレス解消・リラクセーション>


自分なりのリラックス法を見つけておきましょう。


リラクセーション

ギュッと力を入れてから、フッと力を抜くことで、リラックスする方法もあります。


気分を変える方法にはいろいろなものがあります。


気分転換をする

写真から選ぶ









ライフスタイルを変える


休息をとる


サポートを受ける


本格的にケア&キュアする

みんなのストレスケア

私はこんなやり方をしています


みなさん、いろいろな工夫をされています。

仮想旅行をする人、畑仕事をする人、ダラダラする人、踊る人、闘う人・・・

みんなのストレスケア評価




1位 ライブへ行って熱狂する
2位 旅行をする
3位 親しい人と食事する




1位 伸びをしながら深呼吸する
2位 目の前の空気を殴ってみる
3位 コーヒー・紅茶・お茶を飲む



 <情報コーナー> (メンタルヘルス対応も)

PTSDは、「障害」か「けが」か? 新しい発想の言葉「OSI」も出てきています。
ストレスを乗り越えて「成長」する「PTG」とは? トラウマは成長につながるか?
ストレスの「バスタブ・モデル」って何? お風呂にストレスケアのヒントが…


部下の不調に気づいたときに、管理職はどう対応したらいい? エスコートという考え方。
家族・友人の不調に気づいたときに、どうしたらいい? エスコートという考え方がポイントです。
セルフケア教育のカギを握る「セルフ・スティグマ」とは?

   
AI、自動運転が間近になってきています。AI時代のストレスマネジメントについて考えます。
「ストレス」と「生産性」の関係は? 欧州24か国のデータから探ってみます。
心身不調時の欠勤コスト(アブセンティーイズム)と出勤コスト(プレゼンティーイズム)


 <職場のパワハラ(パワーハラスメント)防止> 

           
パワハラって何? 6類型とは? 置き換えテストとは? よくある誤解は? 簡単に解説します。
ハラスメント」という言葉は、もともと軍事用語でした。けっこう重大なニュアンスを含んでいます。
意外にも、戦争に行かない兵士の自殺が増加。なぜ?「リーダーシップ」との関係は…


 <震災ストレス関連情報>

避難生活をされている方は「リロケーション・ストレス」にもお気をつけ下さい。
良い支援をするには、支援者のストレス・マネジメントも大切です。
311震災時のストレス・お悩みを再掲載いたしました。


 <みなさんのチェック結果からわかったこと>



 おかげさまで、ストレスチェックは延べ360万人の方にご利用いただきました。このうち、PC版のチェックをしていただいた170万人分のデータを分析いたしました。
この日は、ストレスが高い!

季節との関係はある?

「曜日」「時間帯」との関係はある?

気候や天気との関係はある?

プロフィールによる違いはある?

大震災との関係はあった?

経済指標との関係はある?



 <ラーニング&レポート>







 <ストレス・お悩み 相談&応援コーナー>



  過去のご相談の中から、ピックアップ(週替わり)




トップページ  会社情報  掲載メディア  ご利用規約  プライバシー  ストレスチェック  ストレスお悩み相談 
<著作・制作 株式会社メンティグループ> Copyright © Contents: Mentee Group Inc. Photos: iStock, shutterstock etc.