バラバラになるのがストレス
「stress」の語源を知っていますか?
「stress」 という言葉は、「distress(苦悩、悩み)」という言葉から来ています。「distress」 の頭音のdiが消失したものが「stress」です。
「distress(苦悩、悩み)」の語源をどんどん辿っていくと、「一つのものがバラバラに切り離されること」という意味に行き着きます。
つまり、一つのものが切り離されることが、人間にとっての「苦悩」であり「ストレス」、ということになります。
・いつも一緒だと思っていた人との別れ
・集団からの孤立、仲間はずれ
・考え方がバラバラでまとまらない
・集団からの孤立、仲間はずれ
・考え方がバラバラでまとまらない
切り離されることや、バラバラになることは、ストレスを感じる出来事です。
つながりは、ストレスを減らす
語源から考えると、「一体感を感じること、つながりを感じること」が、ストレスを減らすことになりそうです。
・気持ちがつながった
・一つにつながった
・未来につながった
・一つにつながった
・未来につながった
こういった感覚を持てるようにすることが、ストレスを減らすことになるのではないかと思います。
西洋と東洋が、バラバラではなく、つながり始めた
最近は、西洋と東洋の考え方がつながり始めています。
東洋の仏教には、「みなつながっている、単独で存在できるものはない(空)」という考え方があります。「空(くう)」を悟ることが、心の平穏になると言われています。「stress」の語源の意味と似ています。
仏教はインドの思想であり、仏教典は、パーリ語、サンスクリット語などで書かれています。
パーリ語、サンスクリット語は、インド・ヨーロッパ語系統。一方、「stress」という言葉を持つ英語も、インド・ヨーロッパ語系統で、同じ系統です。
そういう意味では、「stress」という言葉の語源と、「仏教」の考え方が似ていることは、何らかのつながりを持っているのかもしれません。
欧米を中心に「マインドフルネス」が流行っていますが、これも、仏教を起源とするものです。アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が熱心な仏教徒であり、般若心経を読み、禅をしていたことも有名です。西洋人の心の平穏のために、東洋的な考え方が取り入れられています。
現代のストレスケア分野は、西洋と東洋がバラバラではなく、つながってきている状況です。「stress」の語源から考えても、ストレスを減らす方向へ動いているように思われます。
参考文献:
『英語語義語源辞典』(三省堂)
The Heart of Understanding, Thich Nhat Hanh, Parallax Press
Steve Jobs, Walter Isaacson, Simon & Schuster