ストレスはサバイバルのための機能
ストレスの起源をご存じでしょうか。ストレスは、約4億年前に捕食活動が始まったころに生まれたと考えられています。
生物は捕食者と遭遇した場合に、何らかの方法で生き延びようとします。その過程で備わったのが、「身を潜める」、「逃げる」、「戦う」という三つの機能です。
動きの遅い生物は、素早く逃げられませんので、身を潜める機能が発達しました。いわゆる「死んだふり」です。
一方、動きの速い動物は、逃げる、戦うという機能が発達しました。危険を感じると、呼吸を増やして多くの酸素を取り込み、心臓の動きを活発にし、血液で筋肉に酸素を送って素早く動けるようにします。エネルギーを最大限に動員して危険を逃れようとするのです。このときの呼吸数増加、心拍数増加、血圧上昇などが「ストレス反応」の起源です。
もしこの反応が生物にとって不必要なものだとしたら、長い年月をかけて退化していったはずです。
しかし、ストレス反応は退化するどころか、4億年を超えて現代人にまで受け継がれてきました。何が起こるかわからない自然界においては、ストレス反応はサバイバルのために欠かせないものだからです。
私たちが火事や地震に遭遇したときに、すぐに体が反応して、思わぬ力を出せるようになるのもストレス反応の一つです。
生物は捕食者と遭遇した場合に、何らかの方法で生き延びようとします。その過程で備わったのが、「身を潜める」、「逃げる」、「戦う」という三つの機能です。
動きの遅い生物は、素早く逃げられませんので、身を潜める機能が発達しました。いわゆる「死んだふり」です。
一方、動きの速い動物は、逃げる、戦うという機能が発達しました。危険を感じると、呼吸を増やして多くの酸素を取り込み、心臓の動きを活発にし、血液で筋肉に酸素を送って素早く動けるようにします。エネルギーを最大限に動員して危険を逃れようとするのです。このときの呼吸数増加、心拍数増加、血圧上昇などが「ストレス反応」の起源です。
もしこの反応が生物にとって不必要なものだとしたら、長い年月をかけて退化していったはずです。
しかし、ストレス反応は退化するどころか、4億年を超えて現代人にまで受け継がれてきました。何が起こるかわからない自然界においては、ストレス反応はサバイバルのために欠かせないものだからです。
私たちが火事や地震に遭遇したときに、すぐに体が反応して、思わぬ力を出せるようになるのもストレス反応の一つです。
ストレスを生む「ルミネーション」とは?
では、なぜサバイバルのために必要なストレスの機能が、私たちの心身に害を及ぼすようになったのでしょうか。そこに大きく関係しているのが、人間の脳の働きです。
人間には「想像」という高次の脳機能が備わっています。例えば、小説を読んだり、映画を見たりしたときに、涙が流れてくることがありますが、これは脳が想像力を働かせて、リアルな出来事であるかのように感じることで起こる現象です。
同じように、人間は何年も前に誰かとケンカしたときのことを思い出しただけでも、不快な気分になり、心拍数が上がり、呼吸が荒くなります。
このように、想像しただけで心身にストレス反応が現れることが、慢性ストレスを生む原因の一つと考えられています。
例えば、職場で嫌なことがあったとしましょう。その時点でストレスを感じるのは、ごく自然な反応です。しかし、それだけでは終わらずに、家に帰って風呂に入っているときに職場での嫌なことを思い出したり、ベッドに入ってからふと思い出したりして、不快な気分になることがあります。翌日も、翌々日も嫌なことを思い出す人もいるでしょう。
このように何度も思い出してしまうことは「ルミネーション(反芻)」と呼ばれています。脳の中でVTRを再生しているようなものです。
こうした再生が起こると、そのつど心身に何らかのストレス反応が生じます。
ストレス反応は、本来は緊急時の一時的な反応です。体のエネルギーを最大限に動員するため大きな負荷がかかりますが、緊急事態が終わるとすぐに収まるため、それほど体に害が出ないようになっています。
ところが、何度もルミネーションが起こると、緊急反応が持続してしまいます。心拍数増加や高血圧状態が続くわけですから、健康障害につながっても不思議ではありません。
脳の中に火災報知器があると思ってもらうとわかりやすいかもしれません。実際の火事のときに警報が鳴り響くことは、生き残るためにとても有用です。
しかし、火事が起こっていないのに、火事を想像して何度も警報を鳴らしたとしたらどうでしょうか。うるさい警報が一日中鳴り続けている状態になって、気が休まる時間がありません。
慢性ストレス状態は、それに似ています。脳の中で警報が鳴り続けているのです。
人間には「想像」という高次の脳機能が備わっています。例えば、小説を読んだり、映画を見たりしたときに、涙が流れてくることがありますが、これは脳が想像力を働かせて、リアルな出来事であるかのように感じることで起こる現象です。
同じように、人間は何年も前に誰かとケンカしたときのことを思い出しただけでも、不快な気分になり、心拍数が上がり、呼吸が荒くなります。
このように、想像しただけで心身にストレス反応が現れることが、慢性ストレスを生む原因の一つと考えられています。
例えば、職場で嫌なことがあったとしましょう。その時点でストレスを感じるのは、ごく自然な反応です。しかし、それだけでは終わらずに、家に帰って風呂に入っているときに職場での嫌なことを思い出したり、ベッドに入ってからふと思い出したりして、不快な気分になることがあります。翌日も、翌々日も嫌なことを思い出す人もいるでしょう。
このように何度も思い出してしまうことは「ルミネーション(反芻)」と呼ばれています。脳の中でVTRを再生しているようなものです。
こうした再生が起こると、そのつど心身に何らかのストレス反応が生じます。
ストレス反応は、本来は緊急時の一時的な反応です。体のエネルギーを最大限に動員するため大きな負荷がかかりますが、緊急事態が終わるとすぐに収まるため、それほど体に害が出ないようになっています。
ところが、何度もルミネーションが起こると、緊急反応が持続してしまいます。心拍数増加や高血圧状態が続くわけですから、健康障害につながっても不思議ではありません。
脳の中に火災報知器があると思ってもらうとわかりやすいかもしれません。実際の火事のときに警報が鳴り響くことは、生き残るためにとても有用です。
しかし、火事が起こっていないのに、火事を想像して何度も警報を鳴らしたとしたらどうでしょうか。うるさい警報が一日中鳴り続けている状態になって、気が休まる時間がありません。
慢性ストレス状態は、それに似ています。脳の中で警報が鳴り続けているのです。
バーチャルな世界は崩れやすい
慢性ストレスの状態に陥ると、ストレスからずっと逃れられないような気がしてくるものです。
しかし、脳の中で再生されるルミネーションは「現実(リアル)」の世界ではなく「仮想現実(バーチャル)」の世界ですから、案外、壊れやすいものです。壊れてしまえば、そこから逃れることができます。
まずは、自分のストレスが「リアル」なものか、「バーチャル」なものか、よく見極めることが必要です。
職場で嫌なことが10回あったのだとすれば、リアルなストレスは10回です。しかし、嫌なことがあったのは1回だけなのに、何度も頭に浮かんできて不快な気分が続いているのだとしたら、リアルなストレスはたった1回であり、あとはすべて「バーチャルなストレス」と考えることができます。
バーチャルな世界は、視点や考え方を変えていくと、あっけなく崩れ去ることがあります。
しかし、脳の中で再生されるルミネーションは「現実(リアル)」の世界ではなく「仮想現実(バーチャル)」の世界ですから、案外、壊れやすいものです。壊れてしまえば、そこから逃れることができます。
まずは、自分のストレスが「リアル」なものか、「バーチャル」なものか、よく見極めることが必要です。
職場で嫌なことが10回あったのだとすれば、リアルなストレスは10回です。しかし、嫌なことがあったのは1回だけなのに、何度も頭に浮かんできて不快な気分が続いているのだとしたら、リアルなストレスはたった1回であり、あとはすべて「バーチャルなストレス」と考えることができます。
バーチャルな世界は、視点や考え方を変えていくと、あっけなく崩れ去ることがあります。
ストレスの慢性化を生む
「ルミネーション」チェック
「ルミネーション」チェック
1.□ 嫌なことを何度も思い出してしまう
2.□ 思い出したときに、不快な気分になる
3.□ 別のことを考えているのに、思い出してしまう
4.□ 思い出すと、他のことが考えられなくなる
5.□ 一度思い出すと、しばらくその思いが消えなくなる
6.□ 思い出す内容はいつも同じことである
7.□ 「なぜ私が」「どうしてこんなことに」という思いが出てくる
<チェック結果>
1番が含まれていなければ、問題はありません。1番が含まれている人は、ストレスが慢性化する可能性があります。1番を含めて、6つ以上チェックした人は、ストレスが慢性化する可能性が高いですから、気をつけましょう。