ストレスは乗り越えられるか?
現代のビジネス社会においては、ストレスは避けがたいものとなっています。ノルマ、納期、予算不足、顧客の要求など複数のストレスが重なっていることが多く、すべてを一度に解決することはできません。
ストレスから簡単に逃れられないのだとすれば、ストレスが存在することを前提に「ストレスを乗り越える方法」を考えていくことも重要です。
世の中には、仕事の性質上、強いストレスが避けられない職場もあります。防衛、宇宙、警察、消防などの分野です。
こうした分野では、ストレスを乗り越える方法についての研究が盛んに行われています。たとえば、戦争や災害救助に行った人たちの研究がその一つです。彼らのなかにはPTSD(ポスト・トラウマティック・ストレス・ディスオーダー、心的外傷後ストレス障害)やうつ病などを発症する人がいます。
一方で、同じ過酷な経験をしていても、立ち直って成長していく人たちもいます。こういう状況はPTG(ポスト・トラウマティック・グロース、心的外傷後成長)と呼ばれています。
なぜ「ストレスを受けて精神疾患になってしまう人」と「ストレスを乗り越えて成長していく人」がいるのか。両者の違いが長年研究されてきました。
わかってきたことは「自分の経験に意味を見出しているかどうか」という違いでした。
ストレスを乗り越えていく人は、ストレスを単なる「ストレス」ではなく「意味のあるストレス」「意味のある苦しみ」と捉えていました。
このような捉え方は、心理学では「ベネフィット・ファインディング(意味や利点を見いだすこと)」と呼ばれています。
ストレスから簡単に逃れられないのだとすれば、ストレスが存在することを前提に「ストレスを乗り越える方法」を考えていくことも重要です。
世の中には、仕事の性質上、強いストレスが避けられない職場もあります。防衛、宇宙、警察、消防などの分野です。
こうした分野では、ストレスを乗り越える方法についての研究が盛んに行われています。たとえば、戦争や災害救助に行った人たちの研究がその一つです。彼らのなかにはPTSD(ポスト・トラウマティック・ストレス・ディスオーダー、心的外傷後ストレス障害)やうつ病などを発症する人がいます。
一方で、同じ過酷な経験をしていても、立ち直って成長していく人たちもいます。こういう状況はPTG(ポスト・トラウマティック・グロース、心的外傷後成長)と呼ばれています。
なぜ「ストレスを受けて精神疾患になってしまう人」と「ストレスを乗り越えて成長していく人」がいるのか。両者の違いが長年研究されてきました。
わかってきたことは「自分の経験に意味を見出しているかどうか」という違いでした。
ストレスを乗り越えていく人は、ストレスを単なる「ストレス」ではなく「意味のあるストレス」「意味のある苦しみ」と捉えていました。
このような捉え方は、心理学では「ベネフィット・ファインディング(意味や利点を見いだすこと)」と呼ばれています。
うつ病を乗り越えた人たちの特徴とは?
個人的なことになりますが、数年ほど前にある出版社から企業のメンタルヘルス研修用のDVDの監修を依頼されました。そのときに、内容づくりの参考にしようと思い、30人ほどの「うつ病からの回復経験談」を読み返しました。
一通り読んだだけでは回復した人の特徴をつかめなかったので、実際にうつ病から回復した人と会って、各経験談のコピーを見せながら話を聞いてみました。
すると、その人が「これです。この感覚ですよ」と言って、経験談のある部分を指しました。そこには「いい勉強になった」という言葉が出ていました。
あらためて全経験談を読み返してみると、半数以上の人の経験談に「勉強になった」「いい経験になった」「いろいろと学べた」ということが書いてありました。回復した人のなかには、うつ病という経験から学んで、その経験に何らかの「意味」を見出している人が多いことを私はそのとき初めて知りました。
ご存知の方もいるかもしれませんが、リンカーン大統領もうつ病を患っていた1人です。彼の日記からは、何度も自殺を考えていたことが明らかになっています。
しかし、リンカーン大統領にはやるべき大切なことがありました。奴隷解放です。彼は奴隷解放に大きな意味を見出し、それが支えとなって精神的な危機を乗り越えていたと考えられています。リンカーン大統領を支えていたのも、やはり「意味」でした。
一通り読んだだけでは回復した人の特徴をつかめなかったので、実際にうつ病から回復した人と会って、各経験談のコピーを見せながら話を聞いてみました。
すると、その人が「これです。この感覚ですよ」と言って、経験談のある部分を指しました。そこには「いい勉強になった」という言葉が出ていました。
あらためて全経験談を読み返してみると、半数以上の人の経験談に「勉強になった」「いい経験になった」「いろいろと学べた」ということが書いてありました。回復した人のなかには、うつ病という経験から学んで、その経験に何らかの「意味」を見出している人が多いことを私はそのとき初めて知りました。
ご存知の方もいるかもしれませんが、リンカーン大統領もうつ病を患っていた1人です。彼の日記からは、何度も自殺を考えていたことが明らかになっています。
しかし、リンカーン大統領にはやるべき大切なことがありました。奴隷解放です。彼は奴隷解放に大きな意味を見出し、それが支えとなって精神的な危機を乗り越えていたと考えられています。リンカーン大統領を支えていたのも、やはり「意味」でした。
経験から学ぶつもりで乗り越える
「意味」がストレスを乗り越えるカギになるのだとすれば、どのようにしたら意味を見つけ出せるのでしょうか。
リンカーン大統領のように歴史を変えるほどの大きな意味を見つけ出すことは容易ではありませんが、日々の生活のなかに小さな意味を見つけ出すことは不可能なことではありません。それには、人間に備わっている「学習」という機能を使うことが役に立ちます。
私たち人間は、あるものを食べて腹痛になったとしたら、2度と同じものを食べないようにしようと学習して生存確率を高めます。
また、ハシカなどにかかると2度かからなくなるのは、免疫細胞が学習して記憶しているからだと考えられています。生物が生き残っていられるのは学習をしているためです。
学習は、どんな経験も「意味のある経験」に変えてくれます。腹痛やハシカでさえ、その後の健康や安全につながる意味のある経験となります。
日々の1つひとつの経験を『生きていく上での学習』と位置づければ、「どんな経験も無駄ではない」「この経験も何か意味がある」という見方ができるのではないかと思います。
ストレスを抱えたときには「この経験から何か学べないだろうか」と考えてみるとストレスを乗り越える1つのきっかけとなるはずです。
逆境や苦しい経験のなかに何らかの意味を見つけ出せると、「苦しいけれども意味のある経験をしているんだ」という気持ちが出てきて、ストレスを乗り越える力へとつながっていきます。
リンカーン大統領のように歴史を変えるほどの大きな意味を見つけ出すことは容易ではありませんが、日々の生活のなかに小さな意味を見つけ出すことは不可能なことではありません。それには、人間に備わっている「学習」という機能を使うことが役に立ちます。
私たち人間は、あるものを食べて腹痛になったとしたら、2度と同じものを食べないようにしようと学習して生存確率を高めます。
また、ハシカなどにかかると2度かからなくなるのは、免疫細胞が学習して記憶しているからだと考えられています。生物が生き残っていられるのは学習をしているためです。
学習は、どんな経験も「意味のある経験」に変えてくれます。腹痛やハシカでさえ、その後の健康や安全につながる意味のある経験となります。
日々の1つひとつの経験を『生きていく上での学習』と位置づければ、「どんな経験も無駄ではない」「この経験も何か意味がある」という見方ができるのではないかと思います。
ストレスを抱えたときには「この経験から何か学べないだろうか」と考えてみるとストレスを乗り越える1つのきっかけとなるはずです。
逆境や苦しい経験のなかに何らかの意味を見つけ出せると、「苦しいけれども意味のある経験をしているんだ」という気持ちが出てきて、ストレスを乗り越える力へとつながっていきます。
意味や利点を探してみましょう
自分の経験に意味や利点を見いだす「ベネフィット・ファインディング」ができると、ストレスを乗り越えやすくなります。代表的な考え方には次のようなものがあります。
■ この経験から学べることがある
■ この経験によって自分の能力が高まると思う
■ この経験は私の人生にとって良い影響をもたらすだろう
■ どんな経験も無駄にはならないと思う
■ 私は大切な経験をしていると思う
■ 私は意味のある経験をしていると思う
■ この経験から学べることがある
■ この経験によって自分の能力が高まると思う
■ この経験は私の人生にとって良い影響をもたらすだろう
■ どんな経験も無駄にはならないと思う
■ 私は大切な経験をしていると思う
■ 私は意味のある経験をしていると思う