ストレス下で事故を起こさないために
今年は、ニュースなどで、イージス艦がよく取り上げられました。
実は、イージス艦は「ストレス研究」の面でも大きな役割を果たしてきました。
きっかけは、1988年の事故です。米イージス艦がイランの民間航空機を戦闘機と誤認して撃墜し、民間人290名を死亡させてしまう事故がありました。
事故調査の結果、「乗組員たちのストレス」が原因の1つと判断されました。
深刻に受け止めた米連邦議会は、二度とこのような事故を起こさせないために、海軍にストレスの研究を命じました。
当初は7年の予定で研究が始まりましたが、延長されて10年間に及びました。
研究結果は、システムのバージョンアップや訓練に生かされ、イージス艦の指揮官たちの判断力が40~50%向上したとされています。
こうした研究の中から、わかりやすいものをご紹介します。
実は、イージス艦は「ストレス研究」の面でも大きな役割を果たしてきました。
きっかけは、1988年の事故です。米イージス艦がイランの民間航空機を戦闘機と誤認して撃墜し、民間人290名を死亡させてしまう事故がありました。
事故調査の結果、「乗組員たちのストレス」が原因の1つと判断されました。
深刻に受け止めた米連邦議会は、二度とこのような事故を起こさせないために、海軍にストレスの研究を命じました。
当初は7年の予定で研究が始まりましたが、延長されて10年間に及びました。
研究結果は、システムのバージョンアップや訓練に生かされ、イージス艦の指揮官たちの判断力が40~50%向上したとされています。
こうした研究の中から、わかりやすいものをご紹介します。
優れたチームのコミュニケーション法は?
ある研究では、60人のベテラン海軍士官が5人ずつのチームになりました。
1人がリーダーとなり、イージスシステムのシミュレータを使って、対空防衛の実験が行われました。
実験には、ストレスの低いシナリオ(通常時)と、ストレスの高いシナリオ(業務多忙時、緊急時)が使われました。
実験の結果、高いパフォーマンスを発揮したチームは、状況に応じてコミュニケーションを変えていることがわかりました。
ストレスが低いシナリオのときには、コミュニケーションを減らし、ストレスが高いシナリオのときには、コミュニケーションを増やしていたのです。
ストレスが低い場面では、お互いにわかり合っていることに関しては、余計なコミュニケーションを減らして、それぞれが自分の任務に集中することを優先していました。
一方、ストレスの高い場面では、意識的にコミュニケーションを増やしていました。増やしていたのは、主に、下から上へのコミュニケーションでした。「アップワード・コミュニケーション」と呼ばれています。
一般的に私たちは、ストレスがあるときには、自分の世界に閉じこもりがちで、人の話をあまり聞かなくなります。
リーダーの立場にある人も同じで、ストレスを感じていると、人の話を遮ったり、話を聞かなくなったりして、独断的になることがあります。
緊急時には状況が常に変化していますので、下の人からの情報を聞かなければ、リーダーは判断を間違えやすくなります。
また、話を聞いてくれないリーダーには、下の人は情報を上げなくなり、それによって、ますますリーダーの判断力は低下します。
高いパフォーマンスを発揮したチームは、下の人が積極的にリーダーに情報を伝え、リーダーは、下の人からのどんな情報にも耳を傾けていました。
1人がリーダーとなり、イージスシステムのシミュレータを使って、対空防衛の実験が行われました。
実験には、ストレスの低いシナリオ(通常時)と、ストレスの高いシナリオ(業務多忙時、緊急時)が使われました。
実験の結果、高いパフォーマンスを発揮したチームは、状況に応じてコミュニケーションを変えていることがわかりました。
ストレスが低いシナリオのときには、コミュニケーションを減らし、ストレスが高いシナリオのときには、コミュニケーションを増やしていたのです。
ストレスが低い場面では、お互いにわかり合っていることに関しては、余計なコミュニケーションを減らして、それぞれが自分の任務に集中することを優先していました。
一方、ストレスの高い場面では、意識的にコミュニケーションを増やしていました。増やしていたのは、主に、下から上へのコミュニケーションでした。「アップワード・コミュニケーション」と呼ばれています。
一般的に私たちは、ストレスがあるときには、自分の世界に閉じこもりがちで、人の話をあまり聞かなくなります。
リーダーの立場にある人も同じで、ストレスを感じていると、人の話を遮ったり、話を聞かなくなったりして、独断的になることがあります。
緊急時には状況が常に変化していますので、下の人からの情報を聞かなければ、リーダーは判断を間違えやすくなります。
また、話を聞いてくれないリーダーには、下の人は情報を上げなくなり、それによって、ますますリーダーの判断力は低下します。
高いパフォーマンスを発揮したチームは、下の人が積極的にリーダーに情報を伝え、リーダーは、下の人からのどんな情報にも耳を傾けていました。
短時間の研修でチームの成果が上がった
この研究が興味深いのは、訓練をすることによって、チームの状態が変わるかどうかも研究されたことです。
訓練と言っても、大げさな訓練ではありません。
■ ストレスが高くなったときの兆候
■ ストレス下でのコミュニケーション法
などの情報を伝えて、良い例、悪い例のビデオを見せたくらいです。合計しても、2時間程度のものです。
訓練というよりも研修のようなものですが、この研修を受けたチームと、受けなかったチームでは、研修を受けたチームのほうが、明らかにパフォーマンスが上がっていました。チームの連携が良くなり、チーム全体のエラー率が低下していたのです。
ベテランの海軍士官たちは、みな自分の仕事に精通していますので、個々の能力には、それほどの差はありません。
チームのパフォーマンスに差が出るとしたら、「連携(コーディネーション)」の部分であり、その連携を左右するのがコミュニケーションです。
しかし、ストレス下でどういうコミュニケーションを取るべきかということについては、案外、知られていませんでした。
ベテランの海軍士官たちでも、ほとんど知らないようでした。知らないからこそ、いったん知ると、すぐに実行に移して、チームのパフォーマンスを大きく向上させました。
米海軍の研究によって、状況によってコミュニケーションを変えると、チーム全体のパフォーマンスが向上し、事故率低下につながることがわかりました。
事故を防ぐためには、こうした研究結果も参考にしてみてはどうでしょうか。
訓練と言っても、大げさな訓練ではありません。
■ ストレスが高くなったときの兆候
■ ストレス下でのコミュニケーション法
などの情報を伝えて、良い例、悪い例のビデオを見せたくらいです。合計しても、2時間程度のものです。
訓練というよりも研修のようなものですが、この研修を受けたチームと、受けなかったチームでは、研修を受けたチームのほうが、明らかにパフォーマンスが上がっていました。チームの連携が良くなり、チーム全体のエラー率が低下していたのです。
ベテランの海軍士官たちは、みな自分の仕事に精通していますので、個々の能力には、それほどの差はありません。
チームのパフォーマンスに差が出るとしたら、「連携(コーディネーション)」の部分であり、その連携を左右するのがコミュニケーションです。
しかし、ストレス下でどういうコミュニケーションを取るべきかということについては、案外、知られていませんでした。
ベテランの海軍士官たちでも、ほとんど知らないようでした。知らないからこそ、いったん知ると、すぐに実行に移して、チームのパフォーマンスを大きく向上させました。
米海軍の研究によって、状況によってコミュニケーションを変えると、チーム全体のパフォーマンスが向上し、事故率低下につながることがわかりました。
事故を防ぐためには、こうした研究結果も参考にしてみてはどうでしょうか。