【中高生版】ストレス講座(2) どうして緊張するとトイレに行きたくなるの?
まとめ
もともとストレスは、動物が生き延びるため反応として生まれました。そのときの反応が私たちの体の中にも残っています。トイレに行きたくなるのも… |
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心臓がバク、バク…
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呼吸がハァ、ハァ…
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お腹がゆるくなる
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トイレに行きたくなる
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「逃げろ!」
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ストレスは、もともとは、動物が生き残るための「緊急反応」として生まれました。
シマウマがライオンに追いかけられている下の写真を見て下さい。シマウマは必死になって逃げようとしています。
このとき、シマウマはものすごい「ストレス」を感じて、体の中に「ストレス反応」が発生しています。

「怖い!」
シマウマが生き残るためには、逃げ切るか、ライオンと闘うか、どちらかしか方法がありません。
逃げたり、闘ったりするためには、シマウマは、足の筋肉にたくさんのエネルギーを送り込むことが必要です。
そのために、心臓のポンプは働きを活発化させます。心拍数を増やし、血圧を上げます。体に酸素をたくさん取り入れるために、呼吸は激しくなります。
これらの現象が、ストレス反応の原型です。
緊急時に、闘ったり、逃げたりするのに最適の状態にするための反応が「ストレス反応」と考えられていますので、「ストレス反応」は、「闘争・逃走反応(Fight or Flight Response)」と呼ばれることがあります。
この反応のなごりが、私たちの体の中に残っています。
ストレスを感じると、心臓がバクバクしてきたり、呼吸が荒くなったりするのは、体に緊急反応が起こっているためです。


こういう状態がずっと続いてしまうと、体が持ちませんが、緊急事態が終われば、体は元の状態に戻ります。短期間で元の状態に戻れば、体へのダメージ(損傷)は少なくてすみます。

ところで、ストレスを感じて緊張しているときに、トイレに行きたくなったことはないですか?
これもストレス反応のひとつです。
シマウマが逃げるときに、体の中に貯まっている水分や排泄物は、「重り」になります。
タンクに貯まっている余分なものを捨てて体を軽くしたほうが逃げやすいので、排出する方向に体が動きます。
緊張したときにトイレに行きたくなったり、お腹がゆるくなって下痢になったりするのも、このメカニズムと考えられています。


トイレにに行きたくなる


ライオンのことは、すっかり忘れて・・・
ストレスなどの研究をしている、スタンフォード大学のサポルスキー教授は、『なぜシマウマは胃潰瘍(いかいよう)にならないか』という本を書いています。
この本の中で、人間とシマウマの違いを書いています。
シマウマは、ライオンに襲われているときには必死になって逃げたり、闘ったりします。
でも、ライオンがいなくなると、ライオンのことは、あまり思い出さないようです(たぶん)。
思い出さないシマウマの場合、ストレス状態が長くは続かないので、「胃潰瘍(いかいよう)」になりにくいと考えられています。
それに対して、人間は、シマウマよりも頭がいいので、何度も思い出し、あれこれと考えてしまいます。
「反芻(はんすう)」という現象です(詳しくは、前ページ)。
人間の場合、何度も思い出すことによってストレス反応が繰り返され、慢性化してしまって胃潰瘍になりやすくなる、と考えられています。
参考文献:
なぜシマウマは胃潰瘍にならないか―ストレスと上手につきあう方法
シュプリンガー・フェアラーク東京刊
著:ロバート・サポルスキー、監修:栗田昌裕、訳:森平慶司
ストレスに負けない脳 心と体を癒すしくみを探る
早川書房刊
著:ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー、監修:星恵子、訳:桜内篤子
Photos, Illustrations: Shutterstock
著・構成:ストレスケア・コム
なぜシマウマは胃潰瘍にならないか―ストレスと上手につきあう方法
シュプリンガー・フェアラーク東京刊
著:ロバート・サポルスキー、監修:栗田昌裕、訳:森平慶司
ストレスに負けない脳 心と体を癒すしくみを探る
早川書房刊
著:ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー、監修:星恵子、訳:桜内篤子
Photos, Illustrations: Shutterstock
著・構成:ストレスケア・コム