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初期のストレス研究は「体」が対象、そして「心」へ
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ストレスの研究は、1936年に発表されたハンス・セリエ博士の論文がきっかけとなっています。セリエ博士の研究は、動物実験に基づいており、当初は生理学的な研究が主体でした。
ストレスの研究は少しずつ進みましたが、30年代末からは、戦争が本格化しました。40年代に入ると、結核治療薬が出てきましたが、出始めたばかりで、まだあまり普及していません。そのような時代ですから、「心」に対する関心を持つ余裕はあまりなく、「心」よりも、もっぱら「体(生命)」に関心が向けられていました。
ストレス研究の初期、1930年代から50年代ごろの研究は、
ストレスと「体」の関係を解明することがメインテーマでした。

戦争が終わり、1960年代ごろになると、アメリカ社会は、かなり豊かな社会になりました。
すると人々の関心は、物質的なものではなく、「心」に向かうようになりました。また、60年代後半くらいからは、ベトナム戦争帰還兵のPTSD問題も取り上げられるようになりました。
こうした時代背景を受けて、1960年代から1980年代くらいまでは、
ストレスと「心」の関係が熱心に研究されるようになりました。