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乗り越えることで「成長」につながる場合も
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ストレスが、「
成長の糧」となって、心の成長につながる場合もあります。
東洋社会でも、西洋社会でも、古来、
「艱難辛苦」や「逆境」は人間的成長を促すと考えられてきました。
実際、社会的リーダーの中には、大きなストレスを経験し、それを乗り越えて、成長をした人が少なくありません。
イギリスのチャーチル首相、アメリカのケネディ大統領も、若いころに、生死にかかわるほどの苦しい体験をしています。
アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏は、自分の会社を追い出されていますが、苦しい経験を乗り越え、アップルへの復帰後、アップルを大きく成長させました。
遡れば、日本の発明王と呼ばれた豊田佐吉さんも、自分の会社を追い出されています。その苦しい経験を経て、新たに会社を作って成長させ、トヨタグループの基盤を作っています。
このように、
つらい経験や苦しい経験を乗り越えて、国や産業界のリーダーに成長していった例はたくさんあります。
もし、こうした人たちが、つらい経験をせず、順調な人生を歩んでいたら、語り継がれるほどの人物になっていたかどうか、わかりません。
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「近代医学の知見」と「古代からの知見」のバランス
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医学が発展し、ストレスと疾病の関係が明らかにされるにつれ、「
ストレスは病気につながる」という疾病面がクローズアップされ、「
ストレスは成長につながる」という成長面は置き去りにされるようになりました。
しかし、ストレス研究者の中に、ポジティブ・サイドにも目を向けなければバランスが悪いと考える人たちが出てきて、
ストレスによる成長面が研究されるようになってきました。
PTG(ポスト・トラウマティック・グロース、外傷後成長)や、
SRG(ストレス・リレーティッド・グロース、ストレス関連成長)などの研究がその一例です。
「ストレスがきかっけで、病気になることもあるけれども、ストレスを乗り越えて成長することもある」という、
「近代医学の知見」と、
「古代からの知見」のバランスのとれた考え方が少しずつ広がってきています。